Project Chandigarhby Pierre Jeanneret

ABOUT

Pierre Jeanneret

1896年生まれのスイスの建築家。ピエール・ジャンヌレは建築界の巨匠ル・コルビュジエの従兄弟であり、1922年からはコルビュジエと事務所を設立し協働した重要なパートナーとして知られています。1927年に入所したシャルロット・ペリアンと3人でLCシリーズに代表される家具のデザインを手がけています。

インドとピエール・ジャンヌレ

1950年代初期、コルビュジエとともにインド北部・パンジャブ地方の新都市(チャンディーガル)計画に参加します。コルビュジエがチャンディーガル都市計画を引き受ける条件の一つが、ジャンヌレが現地で監督を行うことでした。ジャンヌレは、コルビュジエの提案を承諾し、チャンディーガルの都市空間から建築物、家具までを総合的にデザインするという重要な役割を果たします。途中コルビュジエがプロジェクトを離脱した後もチーフアーキテクトとしてインドの近代建築の発展に寄与しました。1951年から14年間滞在し、1965年には病気のためにインドを離れます。1967年の没後、ジャンヌレの意思に従い遺灰はチャンディーガルのスクナ湖に撒かれました。

Project Chandigarh

「チャンディーガル都市計画」建築群のために、ピエール・ジャンヌレのリーダーシップの下、若いインド人建築家とデザイナーによりジャンヌレをサポートするためのデザインオフィスが設立され、そこで様々な家具がデザインされました。それから半世紀以上が経ち、インドの工房「ファントム・ハンズ」社は、ピエール・ジャンヌレの遺産を引き継いだ姪のジャクリーヌ・ジャンヌレと幾通もの手紙やメールを交わし、多くのアドバイスを受け、再生産プロジェクトを始動させました。

当時、同時期に大量の家具を必要としたため、ジャンヌレは現地インドで入手可能な材料を用い、図面と大まかなアドバイスのみで製作可能なデザインを考えました。主にチークの無垢材を採用し、様々な工房の職人によって製作されました。そのため同じ図面から作られたにも関わらず、大きさや比率、部材の太さや角度などが異なる作品が数多く生産されました。

このプロジェクトでは、当時のオリジナルの図面が残っているプロダクトのみを図面に忠実に一つ一つ職人の手で制作しています。土地の素材や職人の技を生かした素晴らしいデザインを残したジャンヌレに敬意を表し、その技術を絶やさないよう持続的なものづくりを行っています。

Phantom Hands

2013年設立。インドのバンガロールにある工房で、インド各地から実績のある木工職人、木材研磨の職人、籐編み職人、椅子張り職人、仕立て職人が集まり運営されています。

ファントム・ハンズで制作される家具の特徴は、当時と同じ手仕事による「工芸家具」という点でありながら、他の追随を許さない圧倒的な職人の技術と製品のクオリティの高さにあります。素材は、築100年以上の建物に使われていた古材と、貴重なミャンマー産チーク(本チーク)の新材の両方を製材して利用しています。工房が当時のままの素材や製作方法にこだわるのは、ピエール・ジャンヌレが遺したデザインと、当時の製作背景やその後辿った複雑な歴史を、未来に「正しく」継承するためのものと言えます。

製品一つ一つが、何世紀にもわたり世代から世代へと受け継がれてきた手業の知恵と技能の集大成です。社名「ファントム・ハンズ」(幻の手) には、これまで携わってきた職人たちによる継承への敬意が込められています。

-CCAによるジャンヌレ研究への資金援助-

ピエール・ジャンヌレのチャンディーガルでの仕事に関するアーカイブは現在、モントリオール(カナダ)に拠点を置く国際的な建築研究センターであるCCA(the Canadian Centre for Architecture)に保存されています。8mに及ぶドキュメント、写真、図面などから構成されるアーカイブは、遺産を引き継いだ姪のジャクリーヌ・ジャンヌレとその遺族により寄付されました。ファントム・ハンズでは毎年、CCAに対してこれらのアーカイブのデジタル化に向けての貢献と、ピエール・ジャンヌレの遺産を保存するための研究プロジェクトへの資金援助を行っています。ファントム・ハンズの売り上げの一部は、歴史の中に埋もれたピエール・ジャンヌレの功績を正しく保存・研究するために役立てられています。

ファントムハンズの工房については→こちら

本国サイト:https://phantomhands.in