Chandigarh Collectionby Pierre Jeanneret

PHANTOM HANDS

8. 見習いプログラム

ここでは、ファントム・ハンズの工房の様子をご紹介しています。
今回は見習いプログラムについてのお話です。


2018年、ファントム・ハンズは籐編み見習いプログラムを試験的に開始しました。このプログラムが期待以上の成果を挙げたことをきっかけに、見習いプログラムを木工部門と木材研磨部門にも拡大しました。

原点
2018年、ファントム・ハンズでは伝統的に編みを生業としているコミュニティからの籐編み職人が不足していたことから、数人の若手の見習いを受け入れ、上級の編み職人の指導下に置きました。ファントム・ハンズが若手の見習いに期待したことは、基本的なスキルを身に付け、経験豊富な編み職人を補佐することでした。意外にも、見習いスタッフたちは材料の皮むきや準備など基本的なスキルを身に付けたばかりか、複雑な編みの技術も習得し、数か月後には座面や背もたれのすべてを自らの手で編むまでになりました。


上写真:籐をフレームの穴に通す作業を習得します。

見習いチーム
現在、見習いとして参加した若手の籐編み職人10人以上がフルタイムの従業員となっています。彼らの技能は、ファントム・ハンズで働く籐編みコミュニティ出身の編み職人より優れているとは言わないまでも同等のレベルです。見習いプログラムでは、若手の籐編み職人が専門的な工芸技能を習得するための支援をしています。若手の職人は技能を習得することで、籐家具が製作されている期間に生計を維持することができます。また見習いプログラムは、籐編みという手の込んだ工芸を守りながら、伝統的に籐編みを生業としていたコミュニティ以外へ広めるための手段として期待されています。


上写真:梱包部門としてファントム・ハンズに入社したマダブさんは、籐編みの習得に魅了されました。そのため彼を見習いに就かせることに。マダブさんは現在、ファントム・ハンズの最も優秀な編み職人の一人です。


上写真:見習い職人は、刃物や木製のくぎ、編みの工程で役立つ即席の道具などの使用方法を習得します。


上写真:見習いプログラムからファントム・ハンズのチームに参加したパヴィトラさんは、新たな見習いを指導するトレーナーに就きました。

プログラムの拡大
定期的に若手の見習いが籐編みプログラムに参加しています。プログラムが関心を集め、成果を挙げたことを受けて、ファントム・ハンズは見習いプログラムを木工部門と木材研磨部門にも拡大しました。


上写真:訓練1週目の木工見習い職人

7. 品質管理と梱包

今回は品質管理と梱包部門についてのお話です。


品質管理は、すべての過程において重要なプロセスです。木工、研磨、籐織り、ファブリック、梱包の各部門には、品質管理を担当する責任者がいます。材料とプロセスの両方に関して問題点を見つけられるよう訓練されており、厳格なチェックリストを用いて、見逃しがないよう検査をしています。

製品が出荷される前の最終品質検査は最も厳格であり、検査を3回行います。その後、シリアル番号が記載されたプレートが取付けられます。全ての製品は、品質管理責任者によって承認された後、梱包されます。


上写真:水平台で椅子の脚を検査し、バランスが完璧でない場合は研磨を施します。


上写真:コレクション、デザイナー、製作ロットを識別するためのシリアル番号を記載したプレートが各製品に取付けられます。

梱包は専任チームが担当します。製品が輸送中に損傷を受けることを最小限に抑えるため、専任チームは、すべてのモデルについてダメージを受けやすい箇所を把握し、その箇所を補強できるよう訓練されています。

パッケージデザインは、製品と同じくらい重要です。梱包に使用する箱は、海路、空路、陸路での厳しい輸送環境に耐えられるよう特別に設計されています。

強化ダンボール箱、再利用可能な布製の梱包バック、生分解性ラッピング、PETストラップを使用することで、パッケージの環境への影響を減らすよう努めています。

6. ファブリック

今回はファブリックを扱う部門についてのお話です。


ファントム・ハンズのファブリック部門では、ソファ、シートクッション、梱包用バッグなどを製作しています。

ファブリック部門で働く職人は、他の部門と同じように伝統的な職人のコミュニティから呼び寄せられており、コミュニティのノウハウを何世代にもわたり受け継いでいます。その一部は北インドのウッタル・プラデシュ州の出身です。

ファブリック部門の工房は、ほこりのない広々とした空間となっています。レイアウトはきれいに整理され、生地やウレタンフォームに適した収納エリアがあります。

ファントム・ハンズが製作する布張りのチェアやソファには、人間工学に基づいた最適な快適さと耐久性を実現できるよう、製作モデルごとにポリウレタンフォームの密度を組み合わせて特別に調整しています。


上写真:新しい生地を使用したプロトタイプの製作

製作工程では、ミシンなどの機械の作業を手縫いや手作業によって補います。たとえば、ソファのアームの縫い目は丁寧に手縫いをします。各モデルの生地とポリウレタンフォームの切断はすべて、文書化されたテンプレートに基づいており、生地裁断用パターン(型紙)は、生地の伸縮性やその他の特性に基づいて、さまざまな種類の生地ごとに作成されています。

5. 木部の仕上げ

今回は木部の仕上げについてのお話です。


ファントム・ハンズでは、家具の研磨と仕上げのほぼすべてを手作業で行います。木材をさまざまなグレードのサンドペーパーで削り、なめらかに研磨して、染色を施します。この工程を複数回繰り返してファントム・ハンズ特有の仕上がりを実現しています。

文化
古くから、インドでの木材研磨は、木工とは別の専門職とされています。木材研磨に従事するコミュニティは、インテリアの塗装で生計を立てる傾向があります。ファントム・ハンズの木材研磨職人の一部は、ウッタル・プラデシュ州ゴーラクプル出身の一族です。


木工職人や籐編み職人のように、研磨職人も床に座り込んで作業することを好みます。自身のために製作した少し高さのある木製台に座ります。


左)1回目研磨後、籐編み用に並べられた椅子 右)籐編み後、最後の研磨待ちの椅子


座面と背もたれの籐編み後、再び椅子を研磨して、シーラーを塗っていきます。

材料
ファントム・ハンズでは、環境に優しく、お客様と職人にとって安全な製品となるよう、使用する塗料や研磨材を常に見直しています。たとえば、ブラック仕上げの塗料をポリウレタン塗料から水性塗料に切り替えました。

ナチュラルラッカー仕上げ(NT)は、無害で何世紀にもわたって木工で使用されてきた天然の仕上げ材であるシェラックを手作業で塗布しています。

4. 木材

今回は木材についてのお話です。


チャンディーガル都市計画では当時、短期間に数千脚の家具を制作する必要がありました。納期の問題を解決する方法として、インドで古くから流通していたチーク材が使われました。

当時と同様に、ファントム・ハンズのチャンディーガル・コレクションもチーク材を使用しています。そのほとんどは、ミャンマーチーク(学名: Tectona grandis)として知られています。*張地のついたソファやラウンジチェア等の内部構造の一部はパイン材を利用しています。

ミャンマーチークは質が良いため、別名「本チーク」と呼ばれており、他のチークと区別されています。チーク材は天然のオイル成分を多く含んでいるため水に強く、そのオイル成分には防虫効果があります。長年使用を重ねると、徐々に飴色へ変化し色味が深く重厚感を増していきます。

無塗装(UP)とナチュラルラッカー塗装(NT)は、特にお届け時には色が薄く、チーク材の特性である木目や色調のばらつき、色むらなどが見られます。その個体差は、天然素材特有の個性です。長年使用を重ねると徐々に色調の差が薄れて色に統一感が出てきます。チーク本来の自然な経年変化を最大限楽しむことができます。

ファントム・ハンズでは、再利用木材と新しい木材の両方を使用しています。再利用木材を優先的に使用していますが、再利用木材はサイズの制限があるため、一部のモデル(特にソファやベンチ)で必要なサイズが確保できない場合や、同じモデルを複数台ご注文頂いたときは新材を使用しています。再利用木材と新材を一つの家具に混在させることはありません。

再利用木材は取り壊された古い建物の木材を使っており、100年以上経過したものが中心です。木材の仕入れ時には慎重に精査し、ファントム・ハンズの家具に適した品質とサイズのものだけを選定します。


取り壊された建物から梁または垂木の形で回収された再利用木材を調達します。

新材のミャンマーチークは、倫理的に収穫された木材を取引している評価の高いサプライヤーから調達し、購入する全ての木材に対して原産地証明書を厳しく確認しています。調達後、数か月間倉庫で自然乾燥、シーズニングさせます。これにより含水率が下がり、家具づくりに最適な状態となります。


当社の工房にある廃材の山。これらを再利用し、新たに製品を製作するか他のメーカーに供給してリサイクルしています。